高嶺の花沢さんは恋の仕方がわからない
西口くんが書類を見せてきたので、私は確認をするためにそれを覗き込んだ。

『今日は残業をしますか?』

付箋に書いてあったそれに、私の心臓がドキッ…と音を立てた。

えっ、どう言うことなの?

チラリと西口くんを見あげると、彼はフッと口角をあげた。

付箋に視線を向けると、続きが書いてあった。

『花沢さんに伝えたいことがあるんです』

意外にも角が張っているその字に、私の心臓はドキドキと鳴っていた。

これは…返事をしないと言う訳にはいかないよね?

「そうですね、はい…」

適当に返事をして、西口くんの手から書類をもらった。

デスクの引き出しから付箋を取り出すと、彼の付箋の下にペタリと貼りつけた。
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