見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
すでに身体を強張らせている私に気づいたのか、周さんは珍しくそっと肩を抱いてきた。
「初日から大役を任せてすまないが、君はいつも通りに振る舞ってくれればいい。俺がついているから、なにかあってもフォローできる。希沙の腕ならきっと喜んでもらえるはずだ」
頼もしい言葉と手のパワーは大きく、少し気が落ち着いてくる。
これもお客様のため、そして泰永茶園のためでもある。周さんを信じて、私は自分にできる精一杯の仕事をしようと気合を入れ、「頑張ります」と笑顔を向けた。
旧一柳邸に着くと、一旦周さんと別れて更衣室となっている部屋に入る。ロッカー代わりの棚がある、十二畳ほどの和室だ。
煎茶道を行う今日は着物を着つけなければならず、そのために早めに来たのでまだ誰もいない。
畳に衣裳敷を広げ、その上に置くのは祖母から受け継いだ着物。大事なお客様が相手なので、一番上質なものを持ってきたのだ。これを纏うと、身も心も引きしまるから。
まず、足袋を履いて肌着をつける。その上に白の長襦袢(ながじゅばん)を羽織り、伊達締めをしめたところで、ドアがノックされた。
やってきたのは、ほのかちゃんだ。「あっ、希沙さん」と表情を明るくする彼女を見た瞬間、私は急いで小股で駆け寄る。
「初日から大役を任せてすまないが、君はいつも通りに振る舞ってくれればいい。俺がついているから、なにかあってもフォローできる。希沙の腕ならきっと喜んでもらえるはずだ」
頼もしい言葉と手のパワーは大きく、少し気が落ち着いてくる。
これもお客様のため、そして泰永茶園のためでもある。周さんを信じて、私は自分にできる精一杯の仕事をしようと気合を入れ、「頑張ります」と笑顔を向けた。
旧一柳邸に着くと、一旦周さんと別れて更衣室となっている部屋に入る。ロッカー代わりの棚がある、十二畳ほどの和室だ。
煎茶道を行う今日は着物を着つけなければならず、そのために早めに来たのでまだ誰もいない。
畳に衣裳敷を広げ、その上に置くのは祖母から受け継いだ着物。大事なお客様が相手なので、一番上質なものを持ってきたのだ。これを纏うと、身も心も引きしまるから。
まず、足袋を履いて肌着をつける。その上に白の長襦袢(ながじゅばん)を羽織り、伊達締めをしめたところで、ドアがノックされた。
やってきたのは、ほのかちゃんだ。「あっ、希沙さん」と表情を明るくする彼女を見た瞬間、私は急いで小股で駆け寄る。