見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
食堂に向かって歩いていると、厨房で打ち合わせをしていたらしき周さんが姿を現す。
「一柳さん、おはようございます」
ワイシャツにスーツベストを身につけた格好で颯爽と歩いてくる彼に、ほのかちゃんが挨拶をした。
彼も「おはよう」と返すと、着物姿に変身した私に目線を移す。ほんの数秒のはずなのに、しばし見つめられている気がして、つい俯いてしまったときだ。
「とても綺麗だ」
落ち着きのある声が耳に流れ込んで、ドキリと胸が鳴る。
嬉しさが込み上げたのもつかの間、「ジャージ姿とは見違える」と続けられ、一気に脱力した。そうですよね、いつもの干物っぷりと比べればね……。
でも……〝悪くない〟じゃなかった。ただそれだけのことで気分が浮上するのは、恋に落ちたせいなのだろうか。
目線を上げれば、周さんの無表情の中に優しさが滲んでいるように見えて、心の奥がくすぐったくなる。
またしてもニヤけているほのかちゃんと共に、和館のほうへと去っていく彼を見送り、気合を入れ直して再び歩き始めた。
「一柳さん、おはようございます」
ワイシャツにスーツベストを身につけた格好で颯爽と歩いてくる彼に、ほのかちゃんが挨拶をした。
彼も「おはよう」と返すと、着物姿に変身した私に目線を移す。ほんの数秒のはずなのに、しばし見つめられている気がして、つい俯いてしまったときだ。
「とても綺麗だ」
落ち着きのある声が耳に流れ込んで、ドキリと胸が鳴る。
嬉しさが込み上げたのもつかの間、「ジャージ姿とは見違える」と続けられ、一気に脱力した。そうですよね、いつもの干物っぷりと比べればね……。
でも……〝悪くない〟じゃなかった。ただそれだけのことで気分が浮上するのは、恋に落ちたせいなのだろうか。
目線を上げれば、周さんの無表情の中に優しさが滲んでいるように見えて、心の奥がくすぐったくなる。
またしてもニヤけているほのかちゃんと共に、和館のほうへと去っていく彼を見送り、気合を入れ直して再び歩き始めた。