見習い夫婦~エリート御曹司と交際0日で妊活はじめます~
冷徹さを露わにした周さんは、気持ちをリセットするように一度息を吐き、真剣な眼差しを私に向ける。


「万が一また悩むことが出てきたら、必ず俺に言うんだ。なにもわからないままでは、君を守れない」


彼が以前した『全力で君を守る』という宣言を思い出し、胸がきゅっと締めつけられた。

周さんが一緒にいると、こんなにも心強い。この先もふたりで、もっと高め合っていけたなら、恥じることなく夫婦になれるはず。

明るい未来を予感した私は笑顔で彼を見上げ、しっかりと返事をする。


「はい。ありがとうございます……! この指輪、大切にします。一生」


あなたの妻になり、添い遂げる覚悟ができていることを、ささやかながら伝えたつもりだ。

一度、薬指に輝く婚約者の証を見つめたあと、はにかんで再び周さんを見上げる。

その直後、私はギョッとした。なぜか彼が険しい顔になっていたから。


「な、なんでそんなに怖いお顔をするんですか!?」


今、なにも不機嫌になるところじゃないし、むしろいいムードだったよね!?と思い、つい正直に言ってしまった。

周さんは片手で口元を覆い、やや迷惑そうに私から目を逸らす。その態度にショックを受けたものの……。
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