愛するオトコと愛されないオンナ~面食いだってイイじゃない!?
「パン屋さんだってそうだよ。
最初、お母さんはお姉ちゃんに手伝ってくれないかって言ったよね?
でも、お姉ちゃんは真面目に受け止めることさえなかった。
私は売る方より食べる方が良いとかなんとか言っちゃって…
だから、私が手伝うしかなかったんだよ。
私にだって、夢はあったのに…」



当時のことは、正直言ってそうはっきりと覚えているわけではない。
ただ、私はすでに働いてたし、お母さんもそんなに真剣に誘われたような記憶もない。
紗香は、大学を卒業してから、正社員にならずにバイトをしてた。
だから、お母さんは紗香を誘ったんだと思う。



「夢って…どんな夢?」

「そんなこと、言いたくもない。
私はその夢を叶えるために、必死でバイトをしてお金を貯めていた。」



(あ……)



そうだ、思い出した。
紗香は当時、演劇みたいなことをやってたんだ。
それは紗香が言ったわけじゃなくて、お母さんが言ってたんだけど…
詳しい事情はわからないけど、なんか出かけることも不規則で頻繁だったみたいだ。



そっか、紗香は役者になりたかったんだね。
で、劇団か何かに所属して…
稽古とかあるから、正社員じゃなくて時間に融通の利くバイトにしたんじゃないのかな?



紗香は、お母さんのパン屋さんを手伝うことになったから、その夢を諦めたんだね…
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