卑劣恋愛
☆☆☆

それから放課後になるまで、永遠のように長い時間を過ごした。


武は昼休憩の時間帯に千恵美から話をきかされたようだ。


その証拠に、昼が終ってからの武はどこかソワソワとしていた。


授業も身に入っていないようで、チラチラと千恵美を気にしているのがわかった。


「山小屋に呼び出されたことは不振がっていたみただけれど、来てくれると思う」


千恵美が智樹にそう言ったのは放課後になってからだった。


武は誰よりも先に教室を飛び出して、職員室へと向かっていた。


今日の部活を休むため、顧問に話をしに行くのだろう。


「そっか。助かったよ、ありがとう」


「ねぇ、あたし役立ったよね?」


千恵美が甘ったるい声で智樹へ聞く。


智樹は少し後ずさりをして千恵美から距離を置いた。


「あぁ。助かったよ」


「よかった! あたし、智樹のためならなんでもするよ!」
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