卑劣恋愛
チャンス
次に目が覚めた時、あたしは見知らぬ場所にいた。


小さなキッチンに家具のない部屋……。


ボーっとした頭で見回していると、それが山小屋だと気が付いた。


あたしはまだ山小屋の中にいたのだ。


そう理解して体を起こそうとしたが、ロープで両手両足を固定されていることがわかった。


床が軟らかく感じるのは、ここが布団の上だからだ。


「おはようノドカ」


その声に視線を向けると、ほほ笑む智樹が立っていた。


「智樹……?」


どうして智樹がここにいるんだろう?


あたしを助けに来たんだろうか?


そう考えていた時、すぐ隣でなにかが動いた。


ハッと息を飲んで視線を向けると、そこにはあたしと同じように拘束された武がいたのだ。

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