卑劣恋愛
「なにすんの! やめてよ!!」


悲鳴を上げて抗議しても智樹はやめなかった。


「ムカツクんだよなぁ。ノドカの気持ちを独り占めしてさぁ~! ノドカが作った弁当だって、お前食ってねぇじゃん!」


大声を張り上げてそう言いながら、智樹は武の体を蹴り上げた。


「もうやめてよ智樹! もう充分でしょ!?」


目の前で武が暴行を受けているのに、今のあたしにはなにもできない。


それが歯がゆくて仕方なかった。


「そんなことするなら、もう智樹には報酬をあげないからね!」


そう言うと、智樹が一旦武を蹴るのをやめてあたしへ視線を向けた。


少しは考え直してくれただろうか?


そう期待したが、期待はすぐに裏切られた。
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