卑劣恋愛
「なんだ、そんなことか」


あたしの呟きに真由子がムッと眉を寄せた。


「そんなことって……」


「だって、恋愛なんてとっても簡単じゃん」


「ノドカからすればそうかもしれないけど、あたしはそうじゃないの」


真由子は少し向きになってそう言い、そっぽを向いてしまった。


「どうして? 好きな人に告白すればいいだけでしょ?」


首を傾げて言うと、真由子は呆れたような視線をあたしへ向けて来た。


「そんなに単純じゃないよ。告白して、振られたらどうするの」


「振られる? どうして?」


あたしはまた首を傾げた。


「どうしてって……。そっか、ノドカは振られた経験がないんだね」


真由子はため息交じりにそう言って会話を終わらせようとする。


あたしは慌てて左右に首を振った。


「振られたことくらいあるよ。でも、それで諦める必要はないでしょ?」
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