卑劣恋愛
「いっただっきまあぁす!」


あたしは席の前に立ったままおかずを鷲掴みにして口に入れた。


玉子焼きも、ウインナーもまとめて掴んで口に入れる。


粗食している間に口の端からボロボロと食べかすが落ちても気にならなかった。


ただ一点、武の机だけを見つめて口を動かす。


「なぁ、それ……」


あたしに近づいて声をかけて来たのは智樹だった。


しかし、あたしは返事をしなかった。


今朝、武に喧嘩を吹っ掛けている所を目撃したからだ。


智樹は武の敵だ。


「俺が食うよ」


智樹のその言葉に、一瞬教室内は静まり返った。


あたしも一旦粗食するのを止めて智樹を見る。


どうやら本気みたいだ。


あたしはボロボロになったお弁当の中身に視線を落とした。

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