とろけるような口づけは、今宵も私の濡れた髪に落として。
確かにお受験しなきゃ入れないような、有名私立中学に編入できたのは祖父や母の力があったかもしれない。

でも――。

「強制じゃないけど、貴方の良心を信じているわ」

たった一杯の珈琲を飲んだだけの時間で、私の休日はどしゃぶりのように暗く最低な一日へ変わった。

代わりに母の飲んだコーヒーカップをシンクに置きながら、決意する。

「朝早くごめん。今、時間、大丈夫?」

電話をかけた相手は、美里。

美里から彼の電話番号を聞くと、電話はすぐに繋がり、そして電話ではなく話がしたいと言ってきた。

――メリットならあるよ。

そう笑った昨日の彼の顔しか思い出されず、憎らしかった。

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