極艶恋~若頭は一途な愛を貫く~
若頭の正体は
◇◇◇

半グレの男たちに攫われ、龍司に助けられた日から半月ほどが過ぎ、十月に突入する。

秋風が吹き、外出時には薄手の上着が一枚必要な気温である。

ロイヤルの店内はいつでも適温なので、実乃里は半袖ブラウスと七分丈パンツで今日も元気に働いている。


時刻は十五時四十分。

「姉ちゃん、また来るな」と言って機嫌よく帰っていくのは、一尾たち猿亘組の下っ端構成員三人である。

彼らは十三時頃、ランチで忙しい最中に来店し、三人合わせて約一万円分も注文した。

食べて大声で話して、テーブルひとつを長時間占領し、やっと帰ってくれたところである。

そこに龍司がいたならば、もっと居座ってほしいと実乃里は思っただろうが、残念ながら彼は顔を見せなかった。

『龍司さんは来ないんですか?』と来店したばかりの一尾たちに尋ねたら、ニヤニヤして散々からかわれてしまった。


『若頭はモテるなぁ。今はたぶんフリーだから、駄目元で告ってみたら?』

『いやー、さすがに女子高生はないだろ。若頭がロリコンだったら俺、嫌だ』

『兄貴、ロイヤルの姉ちゃんが二十三って言って怒ってますよ。どう見ても未成年だから、もっと女磨きした方がいいよ。若頭に相手にしてもらいたいなら』


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