一生に一度の「好き」を、全部きみに。

「鳳くんの味方をするわけじゃないけど、お父さんは葵には幸せになってほしいと思ってる」

「…………」

お父さんの気持ちが痛いほどの伝わってきて胸が痛かった。

私の選択はまちがっていたのかな。もっと話し合えばよかった?

だけどあのときの私には『待ってて』なんて言えなかった。

メッセージを眺めては返せない日々が続いた。

咲からのメッセージはそれ以降はない。

SNSの更新もストップしたままだ。

私と彼を繋ぐ唯一のもの。過去にアップされた動画を観ながら、咲の歌声に耳を澄ませる。

動画の配信以外でのつぶやきはないため、現在の咲の私生活まではわからない。

でも動画で姿を見るたびに、ますます咲を好きになった。

今は大学生のはずで、どんな道に進んでいるのかな。

咲に会いたいな。そんな想いが日々強くなる。

返信しようか迷っていたそんなある日。

咲から個人的に一件の動画が届いた。

『人気チューバーのチャンネルに出演したときの動画です。俺のSNSでは配信していないので、観てないようであればぜひ!』

そんなメッセージが添えられていた。

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