一生に一度の「好き」を、全部きみに。
「手術は成功したよ」
「え……」
「よかった、無事で」
体がものすごく動かしにくい。硬いベッドの質感も、うっすら映る天井の模様も全部、見覚えがある。
私、生きてるの……?
手術は成功したって、それって死なずに済んだってこと……?
「生きて、る……?」
「ああ、生きてるよ。葵は生きてる」
「そう……よかった」
生きてるんだ。
その事実がうれしくて胸が震える。自然と目から涙がこぼれた。
こんなにうれしかったことはない。命があることが、こんなに幸せだなんて。
「でも、咲がいるわけないよね……」
頭が混乱してごっちゃになってるんだ。
「葵、こっち見て」
夢、だよね……?
だって、そうでしょ?
「葵」
頬に手が添えられて、ゆっくり横を向かされた。
「ウソ……」
心臓が止まるかと思うほどビックリさせられた。
どうして咲がここにいるの……?
「ずっと諦められなかった。好きだ、お前のことが」
「さ、く……っ」
「お前が俺を好きじゃなくても、俺の気持ちはやっぱり……」
涙が我慢できなくて次から次へとこぼれ落ちる。