溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜

◇◇◇

大小様々な七冊の絵本が入った袋を抱えた博人と、マンションまでの道のりを歩く。


「いろいろとありがとうございました」


書店員にいきなり声をかけたときには驚かされたが、サインだけじゃなくコーナーまで作ってもらえるようになるとは夢のようだ。

博人の行動力といったらない。
思い立ったらすぐに動くバイタリティに触発され、早く新作を書きたい気持ちになった。


「サイン会みたいなものは?」
「サイン会なんてとんでもない! 人気のある作家さんだけだと思います」


そもそも絵本作家では、あまり聞いたことはないけれど。


「書店巡りは?」
「それもした経験ないです」


いつも静かに発売日を待つだけ。こっそりひとりで書店を覗くのが関の山だ。


「でも今日は、今でも大切にしてるって聞いて、ものすごくうれしかったです」

< 126 / 190 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop