溺愛婚姻譚〜交際ゼロ日ですが、一途な御曹司と結婚します〜
ちょっとした気遣いがくすぐったい。
「これ」
そう言って博人が白い小箱を差し出す。見るからに中にはスイーツが入っているのがわかる。
「美華が喜ぶものといったら、やっぱりこれだろ。有名な店らしい」
喜ばせようとして、わざわざそんな店をチョイスするとは。
「わぁ、ありがとうございます」
ニコニコ顔で美華が受け取ると、博人は満足そうに笑った。
家にあがってもらい、リビングへ案内する。
ドアを開けて中に入ったその場で、正隆も弥生もソファから立ち上がり直立不動となった。
設計会社の社長だとは伝えてあったが、容姿に関してはとくに説明しなかったせいかもしれない。あまりにも美麗な男の登場に、しばらくしてから弥生のほうは「あらー」と言って両頬に手を添えた。