同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
 それは、辺り一面が宝石箱をひっくり返したかのように煌めいている。
 大都会の夜景とは比較にならないけれど、それでも私にはとても綺麗に見えた。

「凄い……」

 ありきたりの言葉しか思い浮かばない自分が恥ずかしいけれど、とにかく凄いの一言に尽きる。
 この光の中に、人々の生活がある。そう思うと言葉なんて何も浮かばない。

「ここってデートスポットで有名なんだけど、俺、実はこうやって来たのは初めてなんだ。
 さっき言っていたのは、高校、大学時代の先輩からの受け売りでさ。何か俺、過去にまともなデートってした事がなくて、こうやって一緒に食事したり出掛けたりするのって、結衣が初めてなんだ」

 意外とも取れる発言に、私は返す言葉が浮かばなかった。

「きっと結衣の事だから、俺の過去の交友関係が気になってるんだろうけど……。
 今までにきちんとお付き合いした人は、いない。
 俺も年齢が年齢だし彼女がいなかったとは言わないけど……。正直言って、カレカノって言えるような付き合いじゃなかったし、きちんと気持ちが通じ合った彼女っていう存在の人は……、結衣だけなんだ。
 何か、こう言う言い方をすると、最低な男って思われるかも知れないな……」
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