同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
誰にでも優しくて世話好きな坂本が、こんな連絡ミスをするだろうか。
もしかしたら坂本の所にも連絡網が回ってなかったのだろうか。
それならば、坂本の前の人は一体何をやっていたのだろう。

私は熱で朦朧とする意識の中でも坂本の心配をしていた。

午前中はぐっすりと眠り、汗をかいたので一度着替えると、母に病院へ連れて行かれ、インフルエンザの診断を受けた。

今まで体調にあれだけ気を付けていたのに……。

私はショックで頭が回らなかった。
母も受験が何とかならないかと学校に連絡して先生に掛け合って貰ったものの、交通機関の遅れ等、一定の条件に当てはまらない個人の体調不良では再試験の実施にはならないとの回答だった。

母もそう簡単には引き下がらず、今回の体調不良は学校からの連絡網が回って来なかった事による不可抗力だと伝えるも、学校側からはまさかの回答があった。

それは、坂本から担任に連絡があり、私の家に電話するも繋がらなかったと。

それを聞いて母も私もクラスで配布された連絡網に記載されている我が家の電話番号を確認するも、電話番号は間違っていない。

それに母は私が学校に出てからも外には出ておらず、私が帰宅するまで電話は一切鳴らなかったと言う。

私はそこで初めて坂本に対して疑念を抱いた。

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