同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
「大雪で臨時休校が決まった時、連絡を回さなかったのは……。

西田に学校に来て欲しかったから。

あの日、臨時休校で誰も学校に来ないってわかって、絶好のチャンスだと思ったよ。
これで、誰にも邪魔されずに西田に告白出来るって」

坂本の言葉が、私の心を掻き乱す。
あの頃の坂本は、今の私と同じ気持ちでいたの……?

「西田は気付いてなかったと思うけど、西田って男子の中で密かに人気あったんだ。
小柄で色白で、控えめだけど可愛いって。

受験前が告白する最後のチャンスだと思って、俺、ずっと教室で待ってた……。
西田が来るのを。

でも、ここに辿り着く前に、西田が浅田に会って臨時休校の事を聞かされていたとは思わなかった。
浅田のお父さんに家まで送って貰った事も、その後西田がショックでその場から動けなくなるなんて……。

悔やんでも悔やみきれなかった。

もしあの日告白をしようなんて思わすに、きちんと連絡網を回していたら、一緒の高校に通えていたかも知れなかった。

西田と仲良くなる為にゆっくりと時間をかけていたら、あんな風に傷付ける事はなかったのに。


……卒業式の日、体調を崩して保健室に運ばれた西田の事は、卒業生代表挨拶が終わって壇上から降りる時、後ろ姿を見て気付いてた。

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