同窓会〜あの日の恋をもう一度〜
私の言葉に、坂本も嬉しそうに頷いている。

「西田って、甘い物とか大丈夫なら、今度の休みにでもケーキバイキング行かないか?」

とても魅力的なお誘いだ。
甘い物は大好きだけど、年末の帰省で日頃の食生活では有り付けない食べ物を沢山食べている。
確実にカロリーオーバーしている。

「ここのケーキバイキング、食べやすいサイズだから色んな種類食べられるってうちの妹が言ってた」

そう言って坂本はポケットから一枚のチラシを取り出した。
そこは二年近く前にオープンしたお店で、ローカル局でもよくテレビで放送されるちょっと名の知れたお店だった。
確かテレビでも坂本が言う通りに小さくカットされたケーキが映し出されていたのを見た事がある。

「来月のバレンタインに向けて、新作のケーキもあるって言ってたし、もし都合が合えば……」

坂本も精一杯の好意を伝えようとしてくれている。
坂本の事を知りたい。
私は十年前の坂本しか知らない。
今の坂本の事、何も知らない。

「うん、今度一緒に行こうか。
私も月末は忙しいから、そこを外したら大丈夫かな。
ところで坂本ってクラス担任とかは持ってるの?
年度末だから忙しいんじゃないの?」

自然に返事をしていた。

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