···たった二年で


そんな状態でも
会社には、出社しないと
いけなくて
メイソンは、一睡もせずに
会社に出社した。

そんなメイソンを
アンソニーは、一瞥しただけで
何も言わずに自分の部屋へ入って
行った。

後から出社した亜美は、
メイソンの憔悴した顔を見て
驚き、何があったのか
訊ねていたが・・・

メイソンは、苦笑いを
返すだけだった。

そんなメイソンに
アンソニーは、社長室に
来るように言う・・

メイソンが社長室に入ると
アンソニーは、メイソンを
いきなり殴りつけた。

急に殴られて
メイソンは、体勢を崩し
しりもちをついた
『何をする!!』
と、切れたであろう唇の横を
撫でながら叫ぶメイソン・・・

その声と音に、驚いて亜美が
社長室に入ってきたが
アンソニーは、
『でていろ!!』
と、怒鳴った。

そんなアンソニーにメイソンは、
『アミにあたるな!!』
と、叫ぶと
亜美に
『大丈夫だから!』
と、社長室から出して
アンソニーを見ると
アンソニーの目は、怒りと
情けなさと哀れみを帯びていた。

『そんなにアミが大事なら
サオリと別れろ!!』
と、言われて
何を言われているのか
わからずにいると
『結婚して、たった2年で
お前の気持ちは冷めるのか?
俺には考えられない。

俺は、妻を一番に愛しているし
他の女なんかに目も行かない。

あんなにサオリに
何度も、何度も告白して
怖がるサオリを口説いて
気持ちを伝えて
やっと手にいれたら
これか?・・・・
お前の
顔を見るのも、イラつくから
しばらく俺にもつくな!!!』
と、言われた。

どういうことか、わからずに
アンソニーに詰め寄ると
憎むように目を向けられて
『自分の妻がどんな状態に
いるのか、考えろ!
お前が昨日、アミを抱き締めて
いたのをサオリは見ていたんだ。

もう・・・

お前の元には、帰らないかもな。
俺が、会社のために
サオリとアミをトレードした事も
問題がなかったとは言わないが。

俺は、お前に
アミに深く関わるなと
何度も忠告したはずだ。
それでも、お前は
俺の忠告を受け入れ無かった。
それが、お前の気持ちだ。

お前は、アミと二人で仕事をしろ。

俺には、別の秘書をつける。

二人の世界で過ごせば良い。
お前は、今日付けで
通訳に回す。出ていけ!!』
と、怒鳴りちらした。

アンソニーのあまりの迫力に
メイソンは、アンソニーの部屋から
出て、ぼぉっとしていたが
亜美がすぐにかけより
メイソンの腕を引いて
小会議にいれて、コーヒーを
メイソンの前に置いた。

メイソンは、そんなアミの
行動にありがたいと思いながら
昨日のあの場面を
サオリがみた・・・・・

妊娠中のサオリが・・・・

自分の行動を振り返り
背中に汗が流れた

アミが目の前で何か言っているが
耳には入っていなかった。

サオリは、なんと思ったのだろう?

ただ、アミが可哀想で抱き締めた
だけだ・・

愛情からでは・・ない

本当に?愛情じゃないのか?

ならば?なに?

愛情じゃなければ、
もし、サオリがアンソニーと
抱きあっても
俺は、何も思わないのか?

イヤ、嫌だっ・・・


俺は・・・

  いったい·····なんて事を・・・・


サオリは、俺を許して・・・

   くれるだろうか・・・・


あの愛してやまない

   可愛く綺麗な顔

恥ずかしそうに笑う顔

  すねる顔

   ちょっと怒る顔

どれも、愛しくてたまらないのに・・・
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