隠れイケメンの王子様に恋しました
静かな車内。

部長さんを見ると窓に肘をかけ頬杖をついて外を見ている。
広い車内でも窮屈そうな長い足は組まれててそんな姿もかっこ良くてつい見とれてしまってた。

でも、長い沈黙に耐えきれなくて、聞きたいことがたくさんあって、なの葉は思いきって声をかけた。

「あの…部長…」

「…部長なんてやめてくれ。そんな肩書き俺には無い」

憮然とした感じで言われ一瞬戸惑ったけど、こちらを向いた部長さんは怒ってると言うより困ってるような顔で、ただ部長と呼ばれるのが嫌いらしい。
なの葉は気を取り直して言い直した。

「え、あの…じゃあ、御影さん…」

「…」

「なんで、私の家をご存じなんですか?」

「な、んでって…」

困った顔で見下ろしてくる御影さんは何か言い淀んでて、意を決したなの葉はさらに聞いた。

「あの日、酔ってた私を送ってくれたのは御影さんですよね?なんで私の家を知ってて、その日私の誕生日だってなんで知ってたんですか?それに…」

なんで私にキスしたの…?

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