隠れイケメンの王子様に恋しました
エレベーターを降りると、「こっち」と連れてかれたのは裏口のようで外へ出るとそこは駐車場だった。
そして目の前に黒光りの高級車が横付けされていた。
それはもちろんMIKAGE自動車随一の高級車、ブルースター。

「立花さん…」

立ち止まった部長さんはポツリとそう言うと、車の横に立っていた初老の男性がこちらに一礼した。

「土谷さまを御送りするようにと副社長より仰せつかりました」

「ちっ…兄貴のやつ…」

にっこり笑う白髪混じりの髪に優しそうに下がる目尻のシワ。
そんな立花さんに文句は言えないのか部長さんは苦い顔をしながらなの葉に向いた。

「乗って」

促され立花さんが開けてくれた後部座席に恐る恐る入ると、革張りのシートはふわふわして座り心地がよくて脚が伸ばせるくらいとても広くて内装も木目調で高級感が漂っていた。

初めてのブルースターに感動していると横に乗った部長さんは運転席に乗り込んだ立花さんに行き先を告げる。
それはもちろんなの葉のアパートの住所で…。

ゆっくりと走り出した車はスムーズに会社の敷地を出て行った。
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