隠れイケメンの王子様に恋しました
「でも酔ってたとはいえ、男慣れしてないなの葉がキスとはねえ…」

何を感心してるのかわからないけど朋絵はうんうんと頷いている。
ちょっとムッとしたけどほんとの事なので黙っておいた。
その辺は合コン好きの朋絵は慣れてるようでよく武勇伝を聞かされる。
なの葉は絶対に真似できないって思ってた。

「御影さんの事は知らないけど、でも、安心できたんだよね。誰かに似てると言うか…」

頬杖をついて御影さんの事を思い出してた。
すると事務室に入ってきた大宮さんが目に入ってきてなんだかわからないけどピシッと背筋を伸ばす。

気付けば小休憩のようでぞろぞろと技術部の人たちが入ってきた。
技術部の人達はたまに事務室のソファーで休憩しながら話し合いをすることがある。
思わずなの葉は大宮さんの顔を凝視した。

すっきりとした顎のライン、薄い唇、筋の通った高い鼻、黒縁メガネとボサボサの前髪で目はあまり見えないけど、その雰囲気が御影さんと重なる。

「に、てる…」

「ん?何が?」

朋絵が聞いてきてなの葉は朋絵の耳にこっそりと告げた。

「御影さんって大宮さんに似てると思うんだけど…」

「えっ!そんなわけないじゃん!」

大声を出してハッと口を押えるもみんなが朋絵に注目している。
はははっと苦笑い浮かべて朋絵はパソコンの陰に隠れた。

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