起たたない御曹司君の恋人は魔女
「リラさん。もう、一人じゃないでしょう? 」
「はぁ? 」
「俺がいるじゃん。言ったでしょう? 付き合いたいって。だから、困っているなら力になるから」
真っすぐな眼差しで見つめてくれる結沙は、とても優しくて…。
またリラの胸がキュンと鳴った。
すると…
キラリと光る氷の欠片がヒラヒラと落ちてきた。
「あれ? 」
結沙は手を広げて氷のけらを受け取った。
結沙の掌に落ちると、氷の欠片はすぐに溶けてしまった。
「ん? 雪? そんなに寒くないけど」
空を見上げる結沙。
それほどではないが、空から雪のように氷の欠片がヒラヒラと落ちて来る。
「なんだ? 」
「雪? 」
「まだそんなに寒くないのに」
通り行く人達も驚いている。
「リラさん。とりあえず俺の家に行こう。ちょっと冷えて来たから、風邪ひいちゃうよ」
結沙はリラの手を引いて歩き出した。