起たたない御曹司君の恋人は魔女
抱きしめてくれる感覚は結沙と同じ感覚がした。
他人なのに、こんなに優しくしてくれるなんて・・・夢を見ているようだとリラは思った。
「あの・・・」
「ん? どうしたの? 」
「お話ししなくては、ならない事があって・・・」
「え? 何? どうしたの? 」
「今日、帰ってからでいいですか? 」
「ええ、いいわよ」
優しい笑みを向けてくれる紗良。
ちゃんと話そう。
私が隠し事しているから、壁が出来るんだ…
リラはそう思った。
それから、リラは今日はどうしても用事があると言って仕事は休む事にした。
いつものように、誰も来ないうちに1階へ降りてゆき。
近場のカフェでモーニング。
まだ空いているカフェで1人で飲むカフェオレ。
美味しいとか、味を感じる事無くただ時間をつぶすだけの為に利用しているカフェ。
リラは仕方ない事だと分かっていても、いつもどこかで、寂しさを感じていた。
1人は慣れているのに・・・どうして、こんな気持ちになるのだろう?
良く分らない気持ちに、リラは戸惑っていた。
リラが一人でカフェオレを飲んでいると。
「一緒に、座っていい? 」
ふいに優しい声がして、リラは見上げた。
「やぁ、俺も一緒にモーニング珈琲飲んでいい? 」
現れたのは結沙だった。
驚いた目をしているリラに、結沙はそっと微笑んだ。
リラの向かい側に座ると手を上げて店員さんを読んで注文する結沙。
注文が終わると、結沙はリラを見つめた。
「ごめんね、いつも1人にしてて」
「あ…いえ…。そんな事…」
驚いて戸惑っているリラに、結沙はそっと微笑んだ。
「もう1人じゃないって言っただろう? 」
「でも、こんな所を誰かに見られたら困るんじゃ…」
「困らないよ、誰に何を言われても俺は構わない。君を好きな気持ちを、隠す気は全くないから」