起たたない御曹司君の恋人は魔女
信じられない顔をしているリラ。
注文された珈琲が来て、結沙は砂糖を入れて飲み始めた。
「あ、ここの珈琲美味しいんだね。近くなんだけど初めて来たんだ」
「はい・・・でも・・・苦いって言ってた人もいました・・・」
「うん、確かに苦めだよね。でも、目の前に大好きな人が居ると。苦くても美味しいって感じるんだよ」
胸がキュンとなって、リラは正直嬉しかった。
1人で寂しさを感じていた・・・
そんな時に結沙が来てくれるなんて・・・。
リラもカフェオレを飲んだ。
「あ…美味しい…」
さっきまで美味しくないと感じていたカフェオレ。
だが、結沙が来てくれたら何だか美味しくなった。
「何だか魔法みたい…」
「え? そんな事言われた嬉しくなるよ。でも、これからは一緒に飲もう。ここだけじゃなくて、他にも、もっと良い店たくさん知っているから行ってみよう」
「はい…」
リラは素直に答えた。
「その服可愛いね。母さん、案外趣味良いんだ」
着ている服を誉められて、リラはちょっと照れている。
「ねぇ、もしかして。今日は…検察局に行くの? 」
「え…」
驚くリラを、結沙はじっと見つめた。
「違ったかな? 」
「あ、いいえ。今日は…母のお墓に行くだけです」
「そっか。気を付けてね」
「はい、有難うございます」
結沙は相変わらずの笑顔を向けてくれるが、何となくどこか見抜かれているようで。
リラは胸がチクリと痛んだ。
カフェを出た後。
リラは駅に向かった。
結沙はそのまま仕事に向かった。