やってきた秋に、舌打ちをした。



べつに、秋は嫌いじゃないんだけど。



秋になると表情を変えるこいつが





『キ ラ イ だ』





口パクをしても、舌打ちをしても、届かない。



それらは踊る葉っぱと一緒に、風にさらわれて――空中散歩の旅だ。



前は、もっと楽しかった。



いまより、こいつも笑っていた。



目の前でぼうっと突っ立っている、千秋くん。





……ねぇ、笑ってよ、千秋くん。



私は、なくしてしまった彼との会話の手段を……探し続けている。



秋になると、格段暗くなる千秋くんと、笑いたいから。
< 2 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop