魔女狩り

#9




グレイオスの動きの方が幾ばくか速かった。















高々と上げられた腕は垂れ下がり、その男は意識を失っていた。


一方巨体の男はと言うと、抵抗軍の兵士に取り押さえられ、その動きは封じられれていた。


残りの投降兵も唖然とするしかなく、身動き一つ取れずにいた。


グレイオスの前には、ゼオの策略も児戯たるものだった。


…しかし、この児戯たる策略が、抵抗軍の運命を左右するとは、誰も思ってもみなかった。













その噂が流れ始めたのは、ゼオとの戦いがあってから、数ヵ月が経ったばかりの頃であった。


その噂とは、抵抗軍の三将軍の内、一人が魔女と内通していると言うものであり、それはまさしくキリクのことであった。


それが、グレイオスやラウルでなくキリクであったのは、王の見立てやゼオの感情によるものであり、この噂が抵抗軍に波乱を巻き起こすのは時間の問題であった。




< 94 / 120 >

この作品をシェア

pagetop