死りとりゲーム


私たちは、友人を亡くした者同士。


そう思うと、明香がいない寂しさが大波となって襲いかかってくる。


「どうした?泣いて、んのか?」


「ごめん。ちょっと、明香のことを思い出して」


こぼれ落ちてくる涙を拭っていると__。


えっ?


「泣くなって。俺が、田辺のこと守るから」


暖かい声が降ってくる。


抱きしめられた胸の中で、私のことを思う声が。


「__新田、くん?」


「もし、もし死りとりに失敗しても、助かる可能性があると思う」


「えっ?」


「これは俺の考えなんだけど__」


新田くんは私を抱きしめたまま、自分の考えを打ち明ける。


驚くより先に、この温もりを感じていたい。


ずっと、手放したくない。


新田くんも私のことを?それとも、ただゲームの参加者として助けたいだけ?ううん、それなら抱きしめるなんてこと、するはずがない。


新田くんの胸に頬ずりして、腰に手を回し__。


「慎也⁉︎」


慎也?それは、新田くんの下の名前。


そしてそれを呼び捨てるのは、我聞めぐみだ。


ハッと体を離した私たちを、めぐみが涙を浮かべて睨んでいる。


怒っているのに、次から次へと悲しみの涙が溢れてくる。


めぐみの涙は、とても綺麗だった。


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