俺様課長のお気に入り
帰りの車内で、突然要君が宣言してきた。

「陽菜、明日は俺の実家に行くから」

「えっ?ずいぶん急だね」

「陽菜の両親に許可ももらえたし、早く入籍したいからな」

「そ、それは私も同じ気持ちだけど……それにしても、すごく急いでる気がするけど?」

「もう、我慢の限界なんだよ。早く、陽菜の心だけじゃなく、体ごと全部俺のものにしたいからな」

「か、要君。今なんか、ものすごいことを言われたような気がしますけど……」

「言葉通りだ。陽菜には、結婚するまで手を出さないって約束したからな」

「そ、そうですか……」

要君は本当に律儀で、私を大切にしてくれてる。
恥ずかしいけど、私だって要君とそうなりたいって思ってるから、反論はない。

「明日、俺の実家に行って、その足で婚姻届を出しに行くぞ」

「うん」




翌日。
要君の実家を訪れることを翔君に話すと、ケイ君を預かってくれると申し出てくれた。
朝、要君の運転でケイ君を預けに行って、そのまま要君の実家に向かった。


要君のお義母さんはすごく綺麗な人で、お義父さんはとても背の高い、かっこいいおじ様って感じの人だった。
そしてお義姉さんの葵さんは……強烈なキャラの美人さんだった。

「いらっしゃい、陽菜ちゃん」

優しく出迎えてくれたお義母さんに、少しだけ緊張がほぐれる。

「おじゃまします」

出されたスリッパを履き終えて顔を上げると……

「きゃー陽菜ちゃんかわいい!!これは要がかまいたがるはずだわ」

と、突然抱きしめられた。

「姉貴!!」

「こら、葵。陽菜ちゃんが驚いてるじゃない。放してあげなさい。ごめんね、陽菜ちゃん。騒がしい子で」

「い、いえ」

諌めるお義母さんを、気にも留めないお義姉さん。

「要、こんなにかわいい子を捕まえたなんて、やるわね。陽菜ちゃん、これからよろしくね」

「は、はい」

驚いたけど、私を歓迎してくれているのが伝わって、嬉しかった。

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