俺様課長のお気に入り
「か、要君。だめだ。私これ以上退屈だと錆つきそうです……」

「何言ってんだ、陽菜」

要君は若干引きつつ、さすがに心配してくれたみたいで、

「陽菜、何か趣味を見つけたらどうた?」

と提案してきた。


趣味かあ……


あれこれ考えた結果、晩秋に生まれてくる我が子のために、衣類とか必要なグッズの手作りに挑戦してみることにした。
もともと母がハンドメイド好きで、編み物の基本的なこととか、ミシンの使い方とか教えてもらってたことがあって、一時期私もはまっていた。

編み物かあ……
うん、赤ちゃんの冬用の帽子とかいいかも。

そうと決めたら、早速週末に要君と買い物に出た。
まずは本屋さんで編み物の本を物色した。
思っていたより本の種類も多くて、目移りしてしまう。

「要君、見て見て。このミトンかわいい!」

「難しくないか?」

「うーん。わからないところは、お母さんに聞けばいいし……」

久しぶりにはしゃいでいた私に、要君も安心したのか、買い物も快く付き合ってくれる。
こういうやりとりをめんどくさがらないところも、大好きなところだ。


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