蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~

二人きりの日帰り旅行

「今度の木曜、休みを取った」


 ふたりで夕飯を囲んでいる最中、蓮司さんが唐突に言った。


「乃梨子も休みだろ?」

「うん」


 話の成り行きがまだ見えず、箸を止めて彼の顔を見守る。すると蓮司さんは、鰯の生姜煮をつまみながらごく軽い調子で驚きの発言をした。


「一緒にどこか行こうか」


 私の目が真ん丸になる。
 同棲開始から一カ月。お互いの休みがまったく合わないこともあるけれど、彼の口からそんな言葉が飛び出すのは初めてだった。

 私たち、カップルみたい!

 しかし不覚にも浮かれかけた私のテンションは、彼の次の言葉で急降下した。


「俺たちの休みが合わないのを社長が気にされてる」


 なによ、義務感からじゃないの。
 さっきうれしそうな顔をするのを我慢してよかった。


「別にいいのにね」


 余裕を装ってそんなことを言ってみせる。私は初めてのデートを喜んでなんかいないんだからね。

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