蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
 そう考えてからはたと思い当たった。おそらく白川の両親が社長になにか言ったのだ。
 最初の頃、母は早くふたりで最終の意思決定をしろと突っついてきたけれど、私は仕事の忙しさを理由にのらりくらりと母からの電話やメールをかわしていた。実家を離れるとこういう攻勢から逃げられるのがありがたい。急かされると逆にまとまるものも壊れるからそっとしておいてほしいと母に言ったらメールの回数は減ったのだけど、やはり焦れているのだろう。


「で、どうする?」


 お腹が満足したらしい蓮司さんが、お茶を飲みながら私の返事を促す。


「ええと……」


 お洒落なデートってどんなもの?
 高級レストランでディナー。ベイクルーズ。軽井沢までドライブ。あとは……?

 なんとか手慣れた意見を出そうと思うのだけど、まずデートというものをした経験がほとんどないので皆目わからない。


 定番のデート先といえば、千葉県にあるあの夢の国だけど、この尊大な男があの場所にいる絵面がどうしても想像できないし、中身おっさんの私も童心に返って可愛らしくはしゃぐことができるか自信がない。

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