蜜愛婚~極上御曹司とのお見合い事情~
「よく似合ってる」

 メニューに目を落としたまま、彼はわざとらしく取ってつけたように言った。

「ほかに席が空いてるじゃないですか」

 彼はそれには答えず、やってきたラウンジスタッフにコーヒーをひとつと、カフェオレをデカフェで作るよう頼んだ。

「ミルクたっぷりで」

「承知いたしました」

 彼が待ち人の分までオーダーするのを聞き、さすがに慌てた私は恥を忍んで訴えた。

「あの、私はこれから大事なお見合いがあるんです」

「俺も見合いだ」

「え?」

 女性に不自由していなさそうな彼に、お見合いという言葉はあまりに似合わない。一瞬きょとんとしたあと、私は再び臨戦態勢に戻った。

「それはそれはおめでたいいことでなによりなんですけれども、お見合いって相席するものではないと思うんです」

 私の抗議を聞いた彼は愉快そうな表情を浮かべて腕を組み、片方の眉を上げた。

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