通信制の恋
((天野直 視点))


今日は木曜日。


俺は珍しく体育の授業に出ていた。


本当は眠っていたかったのだが、流石にそろそろ体育の授業にも出ないと出席日数のクリアラインを超えられなくなってきたため、今回初めて参加することにした。


俺と共に体育を受けているのが入学から数日で友達になった、東雲太陽(しののめ たいよう)だった。


奴は、その名前の通り太陽みたいな友達思いの熱い奴だった。


だが、友達思いな割には少しさっぱりしており、俺が居れば寄ってくるし、いなければ一人で過ごしているような奴だった。


「なー、直、今日バレーボールだってよ。一緒にペア組もうぜ」

先生からの出席の確認が終わった途端、俺の前にいた太陽が後ろを振り返りながら声をかけてきた。


「ん、分かった。」


特に断る理由も無かったため、あっさりと了承した。





俺は球技はそこそこできるようで太陽とのバレーボールのラリーも続いていた。


その時。



「結、危ない!」


「え?」


バシン!!!!


ドサッ



大きな打撃音と人が倒れる音がした。


が、それよりも俺が反応したのは、"結"という名前だ。


「(まさか…)」


慌てて駆け寄るとそこには、俺が一目惚れしたあの黒髪の彼女が倒れていた。


黒髪の彼女の側には今にも泣きそうな顔でどうしたらいいか分からなくてオロオロとしている栗毛の女がいた。


「何があった」


「えっ…、あ、その、この子にバレーボールが当たったみたいなんだけど、衝撃が強かったみたいで目を開けなくて…っ!」


「俺が保健室へ運ぶ」


「天野、俺が運ぶからお前は…」


「先生、俺が運びます。」


栗毛の女に状況を聞くと、他のペアがラリーをしていたら途中でボールの軌道が逸れて、ものすごい勢いで黒髪の彼女…黒沢結に当たってしまったようだった。


俺が彼女を横に抱いて立ち上がると、先生がやってきたが、彼女を他の男に触らせるのが嫌で、俺は無理矢理先生や野次馬を押し退け、スタスタと歩き出した。


「直!」


「太陽。悪い、一人にさせる。」


「いいって。それより、後でその子のこと聞かせろよ?」


「……それは答えかねるな」


野次馬から抜けると、タッタと太陽が駆け寄ってきて、俺の腕の中の彼女を一瞥した。
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