きみのための星になりたい。



『でも、あかりちゃん、いつも凪ちゃんのこと何かと手伝ってあげてるじゃん?優しいなあって思うけど、たまにあかりちゃんが無理してないのかなって心配にもなるんだよね。……まあ、それは余計なお世話かな。本当にどう思ってるかは、二人にしか分からないんだもんね』

二人が口にしていたことは、客観的に私たちを見てのこと。私がずっと心の中で思い、考え続けていたことが、彼女たちの言葉と点と点で繋がっていく。

あかりはやっぱり、私と一緒にいることに無理をしているのか。私はただ、あかりに迷惑をかけているだけかもしれない。……そもそも、私とあかりが一緒にいなければ、今日だって、それ以前だって、あかりが自分の時間を犠牲にしてまで私の用事を手伝うということも起こらなかった。

今まで抱き続けてきた疑問と、不安と、その他諸々。それら全てが急速に膨れ上がり、まるで、私の思考がマイナス感情に乗っ取られていくようだ。

教室に戻ると、黙々と机に向き合い作業に取り組んでいるあかりが目に入る。なるべく音を立てないように静かにドアを開けたけれど、それでも小さな音は消せず、俯いていた彼女が顔を上げた。

「お、凪。おかえり。ちょっと遅かったね」

柔らかく笑ったあかりは、「あともう少しだね」と、再び目線を手元に持っていく。

一歩、一歩。あかりに近付きながら、私は自分の平常心が失われていくのを感じていた。

「……あかり」
「ん?どうしたの?」
「もう、いいよ。あと残りは、自分でやれるから。遅くまで手伝ってくれてありがとう」

急な出来事にあかりは目を丸くし、驚いているみたいで。けれど私は笑顔を絶やさず、あかりに嫌な思いをさせないように明るく振舞ってみる。

……ねぇ、あかり。お願い。ここは、小さく頷いてよ。そうしないと、私、もう自分を止められなくなっちゃうから。お願い……。

「え、なんでよ?急になに?……あ、やだなあ、凪。もしかして、私に迷惑かけてるとか、申し訳ないとか思ってるの?そんなこと、親友なんだから──」

「……そうだよ」

でもそんな私の願いも虚しく、あかりは私がずっと気にし続けてきたことを口にする。思わず、あかりが全て言い切る前に、言葉を被せた。

だって、消えないのだ。さっき、クラスメイトの女の子が言っていた台詞が。

あれだけが全てではないし、彼女たちも言っていたが、本人がどう思っているかは分からない。けれど、今の私にはそこまで考えられる余裕がなかった。

私はずっと思っていた。考えていた。悩んでいた。

社交的で明るくて、中学の頃からクラスの人気者だったあかりは、どうして自分の意見を発することもできない、周りに流されて笑っていることしかできない、こんな私と一緒にいてくれたんだろうって。

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