過ぎた時間は違っても
作ってきた弁当を食べながら不思議な現象について語り合っていた。

「こういう事って前にもあったの?」

「願いが叶ったーって言うのは今回が初めてかなー。でも、ずっと物足りない気がしてたんだ」

羽季は昔から何か引っ掛かりながら生きてきたと教えてくれた。家族が絡むと特に何かが違うと感じるらしい。皆で食卓を囲む時も全員いるのに誰かが足りないと思えて、出掛ける時もいつもと変わらないのに何かが違う気がするらしい。
母親の姿を見るとたまに泣いてしまう事もあるそうだ。特に生死の境をさ迷った訳でもないのに生きていると肩を撫で下ろしてしまうらしい。
分からない訳じゃなかった。私も何かが違うと感じる事があるから。家族だから当たり前なのに、何で翔琉と一緒に住んでいるんだろうと驚いてしまう時がある。
< 173 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop