過ぎた時間は違っても
「そんなに気掛かりなのか?」

「唯織の事は大好きだけど、あの子を恋人にした理由が理由なんで。思い切るのに勇気がいるんですよ」

やたら気にしているな。何かあったのか。唯織に恋しているとか?部長が?
まさか、そんなはずはない。でも、副部長はこの学校で一番優しいであろう人物だからな。副部長の事を知ったら唯織も惚れてしまうかもしれない。俺とは大違いな性格だから。
部活の真っ只中、普通科の校舎に目をやると赤と橙に染まっていた。唯織は確か、図書室から見る夕焼けが好きだと言っていたっけ。今も友達の予習復習に付き合いながら夕焼けを眺めているのかな。
唯織の事を考えながら、俺は高く飛んで手に持ったボールをゴールの輪の中へと叩き込んだ。唯織ならもっと上手く狙えていたかもしれない。
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