過ぎた時間は違っても
目立たないように、でも負けないように。開始の合図を聞いてからもそれだけを気にしていた。なのに、結果は一位。周りから見れば圧勝であったと後から聞いた。明穂ちゃんたちはバスケ部員と一緒に喜んでくれていたけれど、翔琉はまた目立ってしまったと私の事を気にしてため息を吐いていた。
他の生徒や教師も、普段から目立たないようにしている私が一位を取った事で驚いていた。高校内では運動神経抜群ではなく普通科の生徒の中では出来る方としか知られていなかったから。

「唯織!やったよ!ありがとー!」

「ちょっ、ま・・・っ!痛っ!」

走り終えた私に抱き着いて飛び跳ねたり、その場で回ったりと羽季は喜んでいた。喜んでくれるのはありがたいけど、そのおかげで余計に目立ってる。
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