過ぎた時間は違っても
翔琉もいつもお世話になっているし仕方無いか。一競技くらいはちゃんと出ておかないと逆に罰が当たりそう。開始位置に移動して靴紐を結び直していると、ほとんどの人が私を鼻で笑った。長袖に長ズボンで走ろうとしているから絶対に負けると思ったのだろう。でも、バスケ部員がいる方からは応援の言葉を叫ばれていた。その中には明穂ちゃん、美幸ちゃん、歩幸くんの三人もいて辞退するとか逃げられる状態でもなかった。

「体動かして倒れないでね?」

「あなたも足首回しておかなくて良いの?怪我したら大変よ?」

隣にいた女子生徒が嫌味っぽく話し掛けてきた。でも、私は私。目立ちたくはないけど頼まれた以上は本気で走らなきゃ。一位じゃ無くて良い。今の点差なら三位以内に入れれば、一位を取られても同点なんだから。
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