過ぎた時間は違っても
いくら明穂さんが友達と言えど、その腕を撫でるなんて普通ならしない。でも、今は違う。他の誰かの体温を感じて安心したいんだ。
少し離れた席に座っていた女子高生たちが何やら騒ぎ始め、急いで店から出ようとしていた。でも、店員に止められて外に出る事は出来ない。騒いでいる内容から察するに、今いる建物に爆弾が仕掛けられているらしい。

「あった!これだ!」

「こんな事、実際にあるんだなー」

更に震え上がってしまった明穂さんを抱き締める唯織だったけれど、唯織の体もそれなりに震え始めていた。部長が携帯に写し出したのは爆弾を付けた犯人がこの建物に立て込もり、中にいる人全員を人質に取っているという記事だった。建物にあるどこかの扉を動かすと爆弾の電源が入り、建物が崩壊してしまうほど大きな爆発を引き起こすそうだ。
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