過ぎた時間は違っても
だから喫茶店の外にさえ出ないようにと焦っていたのか。建物のどこにある扉なのかが分かっていないから。でも、犯人も酷い事を考えるな。だってここって従業員のための保育園があるんだぞ。一般の子供だって預かっているのに、わざわざこの建物を選ばなくても良かっただろう。

「あっ、翔琉!大丈夫?・・・えっ?・・・うん、分かった」

「何て言ってた?」

あり得ない話だと信じない人もいれば、この世の終わりだと泣き出す人もいた。でも、唯織は違った。明穂さんを部長に預けると、翔琉先輩が無事であるかを確認するために電話したんだ。
唯織の話はこうだった。翔琉先輩は人質が取られる前に建物から出ていたから無事。犯人の顔も知っているが、前に唯織を付きまとっていた男が脱獄してきたらしい。
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