過ぎた時間は違っても
五章・囚われの身

何で?

明日はあの約束した自転車専用道路へ行こうとなった日の帰り道の事だった。俺が部活から帰っても、唯織がいなかったのは。図書室に行っても、部長の妹の所にもいなくて。担任の話だと今日は朝から見ていない、欠席だって。でも、家に帰ったら唯織の両親はちゃんと家を出たと言う。
俺がいけなかったんだ。珍しく入った朝の練習に遅れずに行ったから。評価が下がっても良いから朝の練習をサボって唯織と一緒に家を出るべきだったんだ。そうしなければ唯織は行方不明にならずに済んだのに。
どれだけ名前を呼んでも、どれだけ探し回っても返事は無い。姿も手懸かりも見つからない。警察はまだ家出だと思っているのか本格的に捜査してくれない。もしこれが誘拐だったらどう責任を取るつもりなんだ。そう思っても事態は変わらなかった。
俺はその日、一睡も出来ないまま朝を迎えた。自転車専用道路になんて行く気にはなれなかった。
< 81 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop