過ぎた時間は違っても
何で最後の最後に好きだなんて言うんだよ。卑怯だろ。ずっと言って欲しかったのに、唯織の口から聞けるのを待っていたのに。こんな、こんな形で叶うなら言ってほしいなんて願わなかったのに。
もう一度目を開けてくれよ。声を聞かせてくれよ。ちゃんと、いつもみたいに笑って。これから俺はどうしていけば。
唯織がいなきゃ何も出来ないの知っているくせに。何で、何で俺一人を置いて勝手に死ぬんだよ。
目を開けてくれ。今からでも遅くはないから、まだ間に合うから。約束、したのに。

「目を開けてくれよ・・・、唯織!!」

俺の声は病室に虚しく響くだけだった。何度名前を呼んでも、どれだけ泣き叫んでも。唯織の心臓が再び動き出す事はなかった。唯織との恋は何も叶えられないまま、命と一緒に終わりを告げた。
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