私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!


「俺を好きなだけ、利用して下さい…」

「…っ」

……なんだろう…この感じ……

真壁くんが何を思ってそんなことを言ってるのか、何を考えているかもわからない。 初めて会った不思議で美人な男の子。

だけど、ほんの少しだけ見えた辛そうな顔を私は見逃さなかった。


「ーーーーいらない。 利用もしない。
課題は…自分でやるから!」

私は勢いよくガタッと立ち上がると、真壁くんは私を驚いた目で見上げていた。


「ある少女漫画にこう書いてあった。 " 優しさは、人それぞれ違うんだ "って…
…それが真壁くんなりの優しさかもしれないけど、誰かを利用するような優しさなんて、私はいらない…っ
それに、後輩に解いてもらうなんてめちゃくちゃかっこ悪いし…! そんなの、卑怯だから!」

自分でもどうしてこんなに感情的になったのかわからない。
ただ、一瞬見せた彼の顔が気になって、優しさで言ってくれてるのもわかってるのに、なぜか腹がたって…

私は真壁くんにあたり散らすようにそう言うと、机の上の山(課題)を横にかけていた鞄にズボッと入れ、真壁くんを残したままダッシュで教室を出た。ーーーー



……あ"〜〜〜〜っ!
やっちまったあああ!!

校舎を出て、正気に戻った私は両手で頭を抱える。

結局何でうちのクラスに来たのかもわからなかったし、もしも帰り道がわからないんだったらおいてくるべきじゃない。

い、今から戻る……?

……無理だ…
あんなことを言った手前、気まずいし、あんな言い方したから怒ってるだろう……。

橋本、初っ端から嫌われモブ先輩役決定…!!(拍手)

全然嬉しくないや……

私は「は〜〜」と大きくため息を落とした。

にしても…、真壁くんって初めて会うはずなのに、どっかで会ったことがあるような喋り方だったな……

それに…ほんの一瞬だけ見せたあの辛そうな表情…なんだったんだろう……
私が考えたってしょうがないのに…

どうしてあんな顔、ヒロイン以外に見せるの…?
モブは何もできないんだよ……?ーーーー


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