私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!


「あの、真壁くん。 笑うの我慢しなくていいんだよ…?」

「…すいません…、ずっと先輩…フッ…フハハッ
百面相してるから…っ…面白くて…!」

「っ…!?」

再び見せてくれるキラキラ笑顔の真壁くんに、私のほうが我慢できずに鼻血がタラーっと流れ出た。

やばっ…!
急いでティッシュを取り出し、鼻をつまむ。

笑い終わった真壁くんは、私の右の鼻に突っ込まれたティッシュの栓を見て「先輩…鼻…」とビックリしている様子。
一体この短時間でどうしたんだと言いたいのだろう。
「鼻血出やすいんだよね! 気にしないで!」と言ってなんとかごまかした。

嘘ではない。 あまりに興奮すると出るのだ。
けど現実の人間に対して出たことはなかったのに…おそるべし…顔面美男子……
第一、こんな間近でイケメンの笑顔なんて見たことはあっただろうか…?
……ないに決まってるだろ!?

それにしても、真壁くんてよく笑うんだなあ…。
きっとクラスでもキャーキャー騒がれてそう。
さっきの始業式の時でさえコンサート並みの黄色い声だったのだから、そんなの当たり前か…

しかし同世代の男子にこんな風に笑われたのは初めてで、心臓のドキドキがオンパレードしている。
こうやってモブキャラたちはヒーローの沼にハマってゆくのだな……


「先輩…この課題、俺が全部解きましょうか?」

「えっ…」

「そしたら俺が高1の問題解けるってことも証明できるし」

な…っ、何を言ってるんだこの美男子は…!!
もしかして、さっき解けないって言ったこと根に持ってるのか…?

それとも、鼻にティッシュの栓を詰める憐れな先輩を見ての同情!?


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