私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!


なので真壁くんはきっと、昨日見たキラキラスマイルでまず始めは丁寧に断りを入れるはず。

心臓を貫くほどの破壊力があるという意味では、《殺す》という意味の《キラー》で、"キラースマイル"とでも言おうか。
" お、よくキラーの意味知ってたな "って言ってる原田が再び脳裏に浮かんでいるが、今は絶賛それどころではない〜〜っ!

私は彼のキラースマイルを見逃さないように、忍者のごとく身を潜め集中する。


「無理です」

…え………? なに…?
そう返事をしたのは、紛れもなく真壁くん。

一度断ることは望んだがしかし…!
私が昨日見た真壁くんとは全くの別人みたいな表情で、ニコリともしていない。

あれ、本当に真壁くん……?
私は見つからないよう影に隠れて、必死に目ん玉を開けて確認しようとした。

「あと、千尋って呼ぶんじゃねぇ…」

…〜っ…!?
言われている桃園さん本人より私のほうがビックリしてしまい、目ん玉がポロっと転がり落ちそうだ。

ーーー……彼は…、一体誰ですか………?

昨日会った真壁くんとはどう見ても思えない。
裏表のある二重人格かと思うくらいである。

あんな顔もするんだ……と少しゾクっとしてしまう。
…いやいや、わたしゃMじゃないわ!
ブンブンと頭を振っては、違うと自分に言い聞かせた。

まさか…全くの別人……?
そんなわけないか…。
だって真壁千尋くんはひとりしか……はっ、もしかして双子とか…っ!?


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