私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!


原田の尋問から逃げてきた私は、何のジュースにするか悩みながら自販機の前まで来ると、どこからか女の子の話し声が聞こえてきた。

その声のする廊下の隅のほうをそっと覗くと、昨日の今日で見覚えのある後輩とひとりの女子生徒がいて、私はつい声を出しそうになる。

しかも女子生徒は私と同じ2年生の桃園百合さん。
彼女はお偉いところのお嬢様で有名で、去年は明智くんにゾッコンだった。
…きっと明智くんにフラれてしまったか、明智くんと七瀬さんを見て諦めたのか……そんなところだろう。

もしもその三角関係で物語があったんなら見たかった…っ!!

そして真壁くん、そんな彼女に早速告白の呼び出しですか…!?
モテるヒーローはやっぱり違うなあ……
そんなシーンを見てはジーンと感動する。おやつが欲しい気分。


『真壁千尋くん! 好きですっ!
私と付き合ってくれませんか…!?』

お、定番定番…
ぐへへへ……

桃園さんが真壁くんのヒロインになるのだとしても、まず最初はフラれてほしい。(最低)

じゃないとすぐくっついちゃったら、『私の儚い失恋フラグはどこへ…?』だから!

〜橋本の盛り上げ担当即終了のお知らせ〜
が流れちゃうから…っ!

あと、付き合ってからのラブラブなところを見るのもいいけど、私としては付き合うまでの焦ったさとか、葛藤とか、うまくいかない切なさとかをできれば味わってからラブラブを見たいのだ。

愛読書の少女漫画である"羽恋"でも、2人のじれじれに何度ときめいたことか…!



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