私だって少女漫画の〇〇になりたいっ!
「解けない課題とかあるなら俺が教えるぞ?
2年の頃の覚えてるかわかんねぇけど」
「…えっ…先輩、人に教えられるほど頭いいんですか!?」
「…失礼なやつだなー…これでも一応長男だから教えられるように、それなりの勉強はちゃんとやってる」
「…長男! 出た…!」
「出たってなんだよ? 何がだ」
「長男だからいろんなことを我慢してきたんですよね…!」
「我慢はそれなりに…」
「先輩が次男だったら勉強教えてもらえませんでした!」
「……それ…あれだろ…今すげー人気のやつ…そんなこと言って大丈夫か?」
「ギリギリのラインなので大丈夫です! 言いたかったんですもん」(※責任は負えません)
それにしても熊谷先輩のお兄ちゃんパワー!
兄弟に教えるために自分の勉強をやるとか…なんていいお兄ちゃんなんだ……
私も熊谷先輩の妹になりたかった…っ!
「じゃあ先輩、お願いします…!
正直数学と英語の解答欄がまだ真っ白で、そのまま捨てようかと思ってたんですよ〜」
「捨てるなよ」
「あはは、冗談です」
半分は本気だけどね……
だけど熊谷先輩が教えてくれるならありがたい。
捨てないでおいてやろう、課題よ……
「明日の放課後見るから、教室で待っててくれ。 稽古の時間までは教えてやれる」
「え、ここでやるんじゃないんですか?」
「さっきあんなこと言った師範が許すと思うか?」
師範は自分が言いたいことだけ言った後そそくさと稽古場に戻っていて、たぶん今頃生徒のみんなとゴリゴリに稽古しているはずだ。
確かに…あの言い分だと私のこと嫁に出す気更々ないだろうからな……
まあ相手もいないんだけどな…!
あぁ、自分で思って辛くなるわ……